プロローグ

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岸さんと社長室から出ると、部屋の反対側で、ちょうど喜多嶋社長と背の高い男の人が話している。 喜多嶋「ちゃんと仕事を持ってきたか?」 鷲見「マンハッタン帰りから直で来たんだぞ。そう急かすな」 悠然と受け答えする姿は、喜多嶋社長とだと食うか食われるかの両雄並び立つという様……。 岸「鷲見慶……。わが社にとってはライバルである、株式会社リーラルのトップだ」 岸さんが、メガネの真ん中を指で押あげながら説明してくれる。 岡野「え!?リーラルって、この前ラビットランドの30周年記念イベントを取り仕切った会社ですよね」 そう言えば、細身のタイがよく合うイタリアンスーツ姿を何度もテレビで見かけた気がした。 岸「鷲見社長には、あまり近づかない方がいいから……。あの人、バイ……」 岸さんが僕に耳打ちしてくる。 岡野「バイ……?あっ!」 (男でも女でも恋愛対象はかまわないってタイプの人か……) それに赤面していると、岸さんが僕のシャツに手のひらを這わせてきた。
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