第6話

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岸「さっきから、お前、見過ぎ。そして、照れ過ぎ」 ぼそっと言われ、どきっとなった。 岡野「す、すみません。濡れた岸さんも、きれいだなって、っわっと」 (なにを正直に言っちゃってるんだ) 言いかける僕のおでこを、岸さんがピンと弾く。 岸「おかしなやつだな」 岡野「…………」 (上司に濡れてきれいだなんて、消えてしまいたい) 恥じいりながらも、とにかく紅茶をすすった。 岸さんも、どこかはにかんだような顔で、こっちには視線をくれないまま……。 岸「…………」 甘いような、熱っぽいような時間が過ぎていく。 と、足元を何かふさっとしたものが通り抜けた。 岡野「へ?」 見れば、黒猫が甘えるように顔をあげる。 にゃあ。 岡野(猫?あ、足先だけが白いっ。これって、お兄ちゃんちで飼ってた黒猫と同じ……お兄ちゃんは、ソックスって猫を呼んでて……僕にもなついてて) 岸「ソックス、お客様だ。おとなしくしろ」 岡野「ソックス!?」 (もう、間違いないよね) 「岸さんは……お兄ちゃん?」 僕の問いかけに、岸さんのカップを持つ手が止まったーー!!
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