112人が本棚に入れています
本棚に追加
/38ページ
岸「なにか勘違いしてるようだな」
岡野「えっ」
岸「私はストラップを落としてないし、ソックスなんて芸のない名前のつけ方、誰だってする」
岡野「じゃあ、お兄ちゃんじゃないって言うんですか?」
岸「そうだ」
岡野「さびしいです」
ぽつりとこぼした。
岸「それは、岡野の問題だ」
岡野「そうですね」
突き放された感じがして、胸がきしむ。
岡野(どうして?絶対、そうなのにっ!)
僕はうろたえるけれど、岸さんはもう何事もなかったような顔をしている。
冷たい印象を持たれがちな整った容姿の下、きっといろんなことを隠しているはずなのに……。
岸「紅茶を飲み終えたら、会社に戻る」
岡野「はい……わかりました」
しょんぼり肩を落とす僕の足元で、ソックスがにゃっと啼いた。
岡野(……お兄ちゃん……)
最初のコメントを投稿しよう!