第7話

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岸「なにか勘違いしてるようだな」 岡野「えっ」 岸「私はストラップを落としてないし、ソックスなんて芸のない名前のつけ方、誰だってする」 岡野「じゃあ、お兄ちゃんじゃないって言うんですか?」 岸「そうだ」 岡野「さびしいです」 ぽつりとこぼした。 岸「それは、岡野の問題だ」 岡野「そうですね」 突き放された感じがして、胸がきしむ。 岡野(どうして?絶対、そうなのにっ!) 僕はうろたえるけれど、岸さんはもう何事もなかったような顔をしている。 冷たい印象を持たれがちな整った容姿の下、きっといろんなことを隠しているはずなのに……。 岸「紅茶を飲み終えたら、会社に戻る」 岡野「はい……わかりました」 しょんぼり肩を落とす僕の足元で、ソックスがにゃっと啼いた。 岡野(……お兄ちゃん……)
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