第8話

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岸「まったく、油断も隙もない」 岡野「……あの、からかわれてただけで……」 岸「からかわれたって、他の人に簡単に触らせてどうする?」 岡野「……すみません……」 なにか理不尽なことを言われてる気がしたけれど、とりあえず謝る。 岸「第一、どうしてついていったんだ?」 ようやく肩から手を離したと思ったら、詰問された。 岡野「どうしてって……岸さんの女装した写真を見せてくれるからって……あっ!」 するすると真実を告げてしまったので、口をつぐんだ。 岸「あの人、まだあの写真を持っていたのか?どうやら、社長室ごと燃やさないといけないらしいな」 岡野「それは、ダメです」 岸「当たり前だ。実践はしない。だが、後で写真は全部燃やしておく」 岡野「もったいない」 岸「お前を釣るエサに使われるよりは、ましだ」 岡野「……つい……見たくて……」 岸「バカ」 岸さんが、ぽかっと僕の頭を軽く叩いた。 岸「実物が目の前にいるのに……」 岡野「……いろんな顔見たいから」 と言うと、またポカッと叩かれた。 岸「なんで、そんなものを見たがるんだ?」 岡野「ずっと離れてたから」 さびしげな口調で言うと、岸さんがはにかんだ顔になる。
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