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岸「まったく、油断も隙もない」
岡野「……あの、からかわれてただけで……」
岸「からかわれたって、他の人に簡単に触らせてどうする?」
岡野「……すみません……」
なにか理不尽なことを言われてる気がしたけれど、とりあえず謝る。
岸「第一、どうしてついていったんだ?」
ようやく肩から手を離したと思ったら、詰問された。
岡野「どうしてって……岸さんの女装した写真を見せてくれるからって……あっ!」
するすると真実を告げてしまったので、口をつぐんだ。
岸「あの人、まだあの写真を持っていたのか?どうやら、社長室ごと燃やさないといけないらしいな」
岡野「それは、ダメです」
岸「当たり前だ。実践はしない。だが、後で写真は全部燃やしておく」
岡野「もったいない」
岸「お前を釣るエサに使われるよりは、ましだ」
岡野「……つい……見たくて……」
岸「バカ」
岸さんが、ぽかっと僕の頭を軽く叩いた。
岸「実物が目の前にいるのに……」
岡野「……いろんな顔見たいから」
と言うと、またポカッと叩かれた。
岸「なんで、そんなものを見たがるんだ?」
岡野「ずっと離れてたから」
さびしげな口調で言うと、岸さんがはにかんだ顔になる。
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