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エルスの家を辞して、ふたりの家に戻ってきた。
僕たちの家はシンプルだけど、ニューヨークにいても日本を忘れないように和テイストを取り入れてる。
だから、帰ってくるといつもほっとした。
岡野「かわいい赤ちゃんだったね。抱きすぎて、腕と背中が痛いや」
岸「ヒロ……」
岡野「ん?」
神妙な声に振り向くと、直哉さんは難しそうな顔をしている。
岸「やっぱり、赤ん坊が欲しいのか?」
岡野「へ?」
岸「やけに赤ん坊を抱く姿が似合っていたからな」
岡野「それと欲しいかは別だよ。それに僕は直哉さんがいれば十分だ」
(どうして急にそんなこと……)
直哉さんが僕との間に家族を作れないことを気に病んでいたのは知ってる。
岡野(おかしなこと、考えなければいいけど……)
岸「そうか……」
納得した風ではなく、何か深く考え込んでいるように見えた。
沈んだ雰囲気に僕は不安を募らせていくーー。
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