第8話

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岸「落としたことには、気づいてたんだ。だから、同じのを買った。ネットで、さんざん探しまわったよ。古いものだからな。プレミアがついてたぞ」 目の前に差し出されたのは、あのストラップだった。 岡野「同じもの……」 すぐに僕も持ち歩いていたストラップをふたつ取りだす。 岸「まさか、お前が拾ってくれてたとはな。わかっていたら、買わずに済んだ」 岡野「それじゃあやっぱり、岸さんが、お兄ちゃんでいいんですよね?」 岸「……そうだ」 岡野「よかった」 安心して、目がしらが熱くなる。 岸「責めないのか?」 岡野「いいんです。もう認めてくれたから……」 岸「お前、全然顔が変わってない。だから私はひと目見てすぐに気付いたよ」 岡野「すみません。僕、お兄ちゃんの顔をはっきりとは覚えてなくて……」 岸「ヒロはまだ小さかったから仕方ない」 岡野(あ、昔と同じ呼び方だ。ヒロって……) ◆ 岸「ヒロ、こっちだよ。おいで、ヒロ、ヒロ」
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