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岸「落としたことには、気づいてたんだ。だから、同じのを買った。ネットで、さんざん探しまわったよ。古いものだからな。プレミアがついてたぞ」
目の前に差し出されたのは、あのストラップだった。
岡野「同じもの……」
すぐに僕も持ち歩いていたストラップをふたつ取りだす。
岸「まさか、お前が拾ってくれてたとはな。わかっていたら、買わずに済んだ」
岡野「それじゃあやっぱり、岸さんが、お兄ちゃんでいいんですよね?」
岸「……そうだ」
岡野「よかった」
安心して、目がしらが熱くなる。
岸「責めないのか?」
岡野「いいんです。もう認めてくれたから……」
岸「お前、全然顔が変わってない。だから私はひと目見てすぐに気付いたよ」
岡野「すみません。僕、お兄ちゃんの顔をはっきりとは覚えてなくて……」
岸「ヒロはまだ小さかったから仕方ない」
岡野(あ、昔と同じ呼び方だ。ヒロって……)
◆
岸「ヒロ、こっちだよ。おいで、ヒロ、ヒロ」
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