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第10話
けだるい体を起こして、僕は自分の部屋のキッチンで朝食のスープを作る。
岡野「直哉さんが起きたら、食べさせてあげよう」
つい、ふんふ~んと鼻歌が出た。
岡野(昨日、僕と直哉さんは、ちゃんと恋人になりました)
と、自分に宣言しただけで、顔が赤らんでくる。
張り詰めた美しい筋肉が、しなやかに僕に覆いかぶさってきたことを思い出したから……。
岡野「なんか、わーっとなって、きゅーっとなって、ひゃーってなるんだよね」
岸「それは、なにかの暗号か?」
岡野「わっ!」
振り返ると、直哉さんが起きてきている。
岡野(もう、シャツ来てる。朝なのに、すっかりぴしっとしちゃって……)
岸「なにを作っている?」
岡野「たまねぎのスープを……。疲れが取れるかなって」
岸「人を歳より扱いするな。まだ、いけるぞ」
岡野「そ、そうなんだ」
(そんなこと言うと、夜のことを思いだしちゃうよ)
カーッと頬が赤くなる。
それに気づいて、直哉さんも照れてはにかんだ。
岸「座ってできあがりを待ってる」
岡野「はい。すぐだよ」
僕は、手際よくトーストとサラダを仕上げて、テーブルに並べた。
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