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第9話
夕暮れに染まる社長室が、僕たちにいつもと違った顔を見せていた。
そこで、しっかりと筋肉のついた岸さんの腕が、決して離さないという強さで僕を抱き締めてる。
服越しにも、そこにある熱と鼓動が伝わってきた。
目の端に、高層ビル群の灯り始めた灯りが映っている。
岸「まだ、再会するには早すぎた。今は、まだダメなんだ」
岡野「どうして?」
岸「私は未熟だから、お前を手放せなくなる」
岡野「っ!!」
(それでいいのに!どうしてそれじゃ、だめなの!?)
岸「私が自分の欲に負ければ、お前を男同士の不毛な関係に引きずり込むことになる」
岡野「なっ!?」
岸「ヒロは、家族をなくして、ずっと家族を欲しがっていたんだろ?」
岡野「あ……」
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