62人が本棚に入れています
本棚に追加
-6年前
というのは、俺が勇者になる2年前だ。
俺はいつも通りに怠けていた。剣術なんてとっくに免許皆伝したし、ちょっと街を出たら金を稼げる。
つまり俺は暇を持て余していた。何か新しい刺激が欲しかった。
「金も無くなりそうだし、なんか狩ってくるか……」
剣を片手に家を飛び出る。 そして何のアテもなく街の外をぶらぶら。
いつも通り、ホントにいつも通りだった。
でも、森の中に入ってある女の子を見つけてしまい、俺の日常は崩れた。
「お前、ここで何をやってるんだ?」
話しかける。まだ13~14ぐらいの子供だ。
軽鎧にショートソード一本。非常に心もとない装備だ。剣一本の俺は人のこといえないがな。
「関係ないでしょ」
素っ気ない返事だ。
「いや……、危ないだろ……」
「知ってるわよそれくらい。
でも、やらなきゃいけないのよ!」
「何をやるんだ?
ここらへんにお前でも倒せそうなモンスターいたか?」
「キメラを一匹よ」
「え、無理だろ、諦めろよ」
「やるったらやるの!邪魔しないでよね!」
―数十分後―
「うわぁぁぁん!強い強いよ~こんなに大きいなんて聞いてなかったよ~助けて~!!」
ほら言っただろ……
仕方ねぇな……
「ほらよっと」
俺は近くの木を切り、蹴ってキメラの方向に倒す。
ぐげえぇとキメラがひしゃげた声を出す。
「良かったなぁ、勝手に木がキメラに倒れてきて」
「は、ははは、ま、まぁあね……」
「あれぇ、倒したのに脚が震えてるぞ?」
「う、嘘ぉ」
「冗談だよ、まぁ気をつけて帰れよ」
たまには、人助けも悪くないなぁと思いつつ俺は森から出た。
でも、飯抜きになったがな。
最初のコメントを投稿しよう!