第11話 門番と約束

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俺は家に帰り、飯抜きはあんまりだったので一食分の金を持って行きつけの酒屋に行った。 まだ未成年だが、店長が俺の剣術を気に入ってくれたらしく、特別に入っていいことになった。 「よう坊主! お前も酒かぁ!?」 店に入った途端、近くの席の常連に話しかけられた。 「そんなんじゃねーよ、つーかよく食パン一斤で足りるな……」 テーブルの上には酒と食べかけの食パンが一斤置かれている。 「おうよっ! 食パンの方が安いし腹に溜まるし何しろ食べやすい!」 「効率厨ですね、わかります」 俺もカウンター席に座って注文する。 「おっさん、なんか食いもん適当に見繕ってくれ」 「おっさんっていうな。 じゃあ、ローストビーフとサラダでいいな?」 「あざっす、早く頼むぜ 俺、腹減ってんだ」 「お前、たまにしか働かねえって言ってなかったか 今日、何かしたのか?」 「ちょっと人助けを…な」 「じゃあ、今回も人助けだと思ってあそこの席のチンピラどもをなんとかしてくれよ」 「……カクテルアルコール抜きな」 剣を抜く俺。 「それカクテルって言わないだろ…… あいよ、飲み放題にしてやるよ」 俺はチンピラどもに近づいて様子を見る。 女性を囲んでナンパしているようだ。 「おい、お前らそいつ嫌がってんじゃねーか」 剣を突きつける。 「あん、俺を誰だと思ってんだ? この地域で有名な山賊だぞ? 頭はあのダスターナさんだ。」 「知らねーなそんな名前」 ※ここからは音声だけをお楽しみ下さい。 ―どごっ!ばぎっ!めしゃっ! 「弱いなお前ら……」 剣ぐらい抜けよ……飾りかよソレ。 「お、覚えてやがれよ!!」 山賊は捨て台詞を吐いて去っていった。 「あ、あの、ありがとうございます」 「いーよ」 「あ、あの不躾なんですが実は人を探してるのです。 金髪で13歳ぐらいの女の子に心当たりはありませんか?」 バリバリあります! 「私、病院の看護を担当している者ですがその子に親が危篤だと伝えたくて……」 だから、人の多い酒場に来たってことか…… 「……見たら言っとくよ」 まずは腹ごしらえだ。 今日は夜遅いからまた明日あの森に行けば会えるだろう。
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