62人が本棚に入れています
本棚に追加
「よう、また会ったな」
「げっ、あんた昨日の……」
翌日、また森の中をうろついているとこの子に会うことが出来た。
「おいおい、人に会って【げっ】はないだろ
あ、そうそうお前に伝えたいことがあってな」
「な、なによ」
「お母さん危篤だそうだ、早く戻ってやれよ」
「きとくって何よ……」
「死にかけてるって意味だよ!」
「そ、そんなっ!嘘でしょ!約束したのに!」
少女は剣をその場に投げ捨てて、街の方に走って行った。
「………………」
まぁ、気になるから追いかけるか。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「お母さんの嘘つき!
私が、私が助けるまで死なないって言ったじゃん!!」
「……ごめんね」
細いような声で返す女性。
「お母さんなんか大っ嫌い!」
ドアを勢いよく開けて、走り去っていく少女。 よく走るなぁお前。
「……すみません、そこの方、話をよろしいですか」
なん……だと……
この人何ものだ! けっこう気配消してたのに!
「す、すんません、立ち聞きしちゃって」
「あなたがあの子に伝えてくれたのですね、ありがとうございます」
「うわ、なんでわかんだよ」
「これでも私は人の心を読むのが得意なんですよ」
「そうっすか、立ち聞きしたのは謝りますけど俺に何か用ですか?」
「……私、見ての通り病弱であと何日もつかわからないんです」
「見ればわかります」
「それで、あなたに娘のことを頼みたいのですが……」
「やだよ、面倒くさい」
「そこをなんとかお願いします」
「じゃあ、条件がある」
「すみません、お金はあまり持ってないです……」
「じゃあ、言葉が欲しい
これでも俺の親はなんの一言もなしに俺を置いて死んだいった。
だから、なんか一言伝えてやる。」
「……え、それじゃ、あなたが……」
「じゃあ、なかったことに……」
「わ、わかりました。
私があの子に伝えたかったこと……それは……」
最初のコメントを投稿しよう!