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―――直後、少女の虚ろな瞳に獰猛な光が宿る。
そして。
ゴグズンッッッ!!!!と。
俺の腹からそんな音が辺り一面に轟いてから、目の前にいた少女の姿が闇に飲まれた。
――――――
何が起きたのか一瞬理解が出来なかった一同は、殴り上げられた少年が、決して低くはない天井に叩き付けられ、やがて床に天井の破片と共に落下してから事態を把握する。
今しがた起きた出来事と、その後の光景についてを。
「…よ、う……」
掠れた声がオレンジ髪の少女の唇から漏れる。目は床に突っ伏す少年に固定されたまま動かない。
しかし直ぐ様、どこかから上がった甲高い悲鳴を聞いて我に返った。
改めて目の前の光景を頭の中で理解する。
さっきまで一緒にいた黄色い少女の姿が見当たらない事に。
さっきまで笑っていた黒髪の少年が、口から赤い血の泡を吹いて倒れている事に。
「よッ、陽太さまァァッ!!」
叫びながら駆け寄る。時々ビクンビクンと大きく痙攣しながら失神している様子からして、かなり危険な状況なのではないかと推測した。
「ちょっ、と…何、待って、これ…何が…え…?どう、なって…?」
一方情報の取得に手こずっている冬火は、半ば棒立ちして辺りをキョロキョロしていた。
そんな冬火に雛瑪は声を張り上げる。
「冬火さま!!陽太さまが大変なんです、手を貸してください!!」
「! ……ぁ、えっ?ち、ちょっと…しっしっかりしなさいよあんた!!」
ようやく追い付いた冬火が陽太に駆け寄る。白目を向いて失神している陽太にあたふたする冬火を尻目に雛瑪が顔を上げ、周囲を見回す。
「あ、あれ!?美月さま、一体どこに!?」
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