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「それは確かに私も思ったわ」
夏氷とは逆サイドから同意見を主張するのは、紅い頭の夏氷に負けず劣らずの派手な頭をした少女が腕を組みながらこちらを見つめていた。
結田 冬火。『青火の女王』などと周りから囁かれる青いショートの髪をした女だ。
夏氷と冬火。この二人は巷じゃ『双嬢(そうじょう)』などと呼ばれる有名なヤンキーなのだ。
まぁ、俺からしたらどっちもおたんこなすなんだけどな。
「陽太、今なんか失礼な事考えなかったか?」
「考えてたわね、その顔」
「考えてねーよ、おたんこなすども」
「「誰がおたんこなすだ!」」
俺の顔を挟み込むように夏氷は右の、冬火は左の拳を突き出してきた。
俺は頭を前に傾けて二人の拳を回避。後頭部の側で二つの拳がぶつかり、痛そうな音を発した。
「いったァ!?」
「よけんじゃないわよバカ!」
「ンな事より」
拳を押さえて痛がる二人を軽く無視し、話題を戻す。
「どうすんだ、"あいつ"の事」
「…どうするったって、なんとか犠牲者が出る前にクラスのみんなに知らせないと」
「このままじゃ下手したら死人が出るかもしれないぞ」
「そうだよな…………夏氷、お前試しに言ってみてどうなんのかクラスのみんなに見せてやれよ」
「なんで私!?」
「そうね、あんたが適任じゃない?紅い頭だし」
「関係ないだろっ!それだったらお前だって青頭だろうが!お前やれよ!」
「パシりー、命令よ、生け贄になりなさい」
「まだ死にたくない!よ、陽太!こいつちょっと黙らせてくれよ!」
「パシり頑張ってー」
「裏切り者がッ!!」
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