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「なんてふざけているのはそろそろやめて、マジでどうするか考えないとな」
「そうね、じゃあ誰がやる?」
「その辺の奴適当に呼び出して言わせたらいいんじゃないか?」
「野蛮だな」
「野蛮ね」
「なんだよ二人揃って!陽太お前はどっちの味方なんだ!」
「さぁ?」
「こ、こいつ…ッ!」
「ていうか思ったんだけどさ、あんたが言ったらいいんじゃない?」
「何故?」
「だってあいつあんたになついてるし、言っても怒らないんじゃない?」
「そうだぞ陽太!きっと陽太なら大丈夫だ!ちなみに私はまだ昨日のキスの事を許してないからな!」
「しつこいなお前」
「確かにしつこいわねあんた」
「………私はいじめられてるのか…?」
「んじゃあ………しゃーねぇ、俺が言うしかないか」
「頑張れ人柱」
「俺死ぬの?」
などとどうでもいいやり取りを切り上げ、俺は腰を上げて立ち上がった。
まぁ結局は俺が言おうとは思ってた訳だし、別にこの状況にはなんにも不満はない。
もしかしたら冬火の言う通り、そんなに怒らないかもしれない。ここは学校の中、その辺は弁えているかもしれない。
よし、そうと決まったら、いっちょやってやるか。
俺は空気を吸い込み、クラスメイト全員に聞こえるほど大きく声を張り上げて、言った。
「おーい!相っ変わらず"ちっちゃい"なー!!」
見えたのは、傷一つない綺麗な白い肌をした足。
その足が頭を捉え、俺は軽々と教室の外まで吹っ飛ばされた。
廊下の壁に激突し、霞む視界に入ったのは、黄色い髪をサイドに括った小さな少女。
夏に咲く有名な華の名を持つ『元殺し屋』向日葵は、右足を振り切った体勢でこちらを睨んでいる。
それを理解した後、俺の意識は闇に沈んだ。
――――――
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