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学校を走り回る少女がいる。
そんな依頼を受けたらしい。
それは昼夜を問わず現れて、連れて行こうとするという。
どこへ、かは不明。
しかし、そのお陰でけが人続出。
先生達は信じてはくれないので、直接胡散臭い拝み屋なぞに頼んだということだった。
俺は俺で仕事で来ている。
短期間の内にあまりにもけが人が出たため、保護者が騒ぎ出したらしい。
しかも、警視総監の息子も通っているらしく、駆り出されたのだ。
「どうせ、虐めだろ」
俺は、授業中の教室を見つめて蘭次に言った。
『ちょ、誰?』『やば、レベル高くない?』『眼帯もいいけど、おじさんも渋くていい~』
なんだろう。
さっきから視線を感じる。
『大人の恋愛とか教えてくれそう』『激しいのかな?』
身の危険を感じる……
『てか、どーいう関係?』『BL?BL?』『妄想してたら、鼻血でたー』
女子高生怖い!
ゾッとして、俺はそそくさとその場を離れた。
「あれ、もう行くんですか?もったいない」
「何がだっ!」
「可愛いですよねえ。初々しいというか」
「え……?」
「……なんですかその目は。まるで僕がおかしな人みたいじゃないですか」
おかしいだろ。あれのどこが初々しいんだ?
訊ねようとして、廊下をつんざく悲鳴に飛び上がった。
「は?なんだ!?」
「階段からです!」
蘭次が先に走り出す。
階段についた俺達は、信じられない光景にしばらく動くことが出来なかった。
階段の中間らへんで座り込む少女。
制服には血が飛び散り、意識はまったくない。
どこを怪我したのか、と探すまでもなかった。
「……なんで、左腕が壁に入ってるんだ?」
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