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心無しかドヤ顔の出雲を呆然と見つめる。
「……お前、友達いなさそうなのに」
「え!?そこ!?いや、あってるけども!」
あってるのか……。
「……すごいですね。出雲ちゃんは人の心を掴むのが上手いみたい」
そこへ、蘭次が同じく驚いた顔で階段を降りてくる。
「あ、拝み屋さんだ」
「お久しぶりです。あの、生き霊は捕まえられました?」
「見てたの?いや、逃げられた」
「そうですか。もし、また機会があれば見学させてくださいね」
「いや、本業の人に見学されると落ち着かないんだけど」
「何言ってるんですか。あなたの方が格上だ」
……なんだ?
あの蘭次がガキ相手に真面目に話している。
「良ければ今度、家に遊びに来てください。一応家業なので、あなたの興味あるものもあると思いますよ」
この目は……
「資料とか?私、生き霊専門だよ。死霊は見えないからね」
「面白い冗談ですね。ですが、生き霊の資料もありますよ」
狙ってる!優秀な人材が欲しいんだ!
そういえば、家業だというのに見える人が少なくて困っているってぼやいていた。
この男、出雲を引き込むつもりだな。
「まあ、そんな話は後でいいだろ。今はこっちが優先だ」
俺は助ける意味も込めて、被害者を振り返った。
一度黒崎家へ入れば、二度と出られない上に厳しい修行と、蘭次にこき使われる毎日になることは必須。
それではあまりにも出雲が可哀想だ。
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