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「事件が起こったのは１ヶ月前。被害者はこれまでに5人。全員、誰かに引きずられたらしいよ。それが少しずつ強くなって、4人目から怪我の度合いが大きくなった。だけどそれでもせいぜい捻挫程度。いきなり壁に腕を埋めるまでは出来ないよ」
確かに。
俺は納得して、頷いた。
すると、出雲が話を続ける。
「だけど、生き霊なら短期間でも強い力を持つことが出来るんだ。元々霊力の強い人なら」
「霊力？」
それは、幽霊見たり退治したりするのに必要なあれか？
「簡単に言うと、霊力が強い人はそれだけ魂が強いってことなんだ。でも、それは死んでしまえば失われる。霊力っていうのは器があってこそ発揮されるから。だから、必然的に生き霊となる」
まあ、他にも候補はあるけど、生き霊って線が一番濃厚だよ。
「じゃあ、これをやったのは今生きてる人間だってのか」
その瞬間、遠くから救急車のサイレンが聞こえてきた。
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