生き霊

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俺は荷物を持つと、車に乗り込んだ。 黒いワゴン車だ。 俺は車を出そうとして、ふとバックミラーに何か写っていることに気づいた。 「……いつも言ってんだろ。人の車に勝手に乗るんじゃねえよ。許可なしに合い鍵作るのも、犯罪だ」 ふぅ、と呆れる俺は後ろに座る蘭次を振り返った。 「いいじゃないですか。どうせ行き先は同じなんですし」 「よくねえよ。てか、お前の家からのが近いだろ。学校までは」 こらから、出雲の待つ学校へ行こうとしていた。 出雲は一人で調査しておくと言っていたが、あまり期待はしていない。 犯人が誰であろうと、俺の仕事は解決し被害を食い止めることだ。 逮捕しろと言われないのが嬉しいところだ。実際、霊の仕業ならば捕まえることなど不可能だ。 「仕事が入っていたので」 蘭次は簡潔に答えた。 「片づけてきたのか?」 俺は訊ねながらエンジンをかけた。 「もちろんです。ただの勘違いでしたから。ノイローゼの女性が、取り憑かれたと騒いでいて」 ああ、最近よくある話だ。 なんでも、霊のせいにしたがる。 車を出して、少し窓を開けた。
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