一人目

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私の知る彼は 女性と距離を置いて 離れた場所から観察して どこか見下しているような ふしがあった。 志藤くんは人をよく見てる。 私は彼の 見透かすような瞳が とてつもなく苦手だった。 変わらない彼の瞳が 眼鏡というフィルターを 取り払った瞳が いま真っ直ぐ 私へと向いていることに シャツの下で ざわりと鳥肌が立つ。 「……で? 小泉はなんで 黙って留学したんだ?」
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