内臓の膨張は誇張された妄想

1/1
前へ
/3ページ
次へ

内臓の膨張は誇張された妄想

突然にそれは襲いかかる 回避しようとしてできるものではない 防ぎきれないし 予測もできない 激しく僕を揺り動かすそれは 決して払えない粘り気を持っていて 腹の下辺りに停滞して時々もぞもぞと動く 僕をむず痒くするそれは ある種の快感を孕んでいる 握り潰してしまいたいようで実は握り締めている 邪魔なものだ マラソンのコースにハードルが置かれるように 使わなくなったピアノがずっと部屋の一角を占めているように 無駄なものだ しかし絶対に避けられないものだ 僕はできるだけ未然に防ごうとするが それは確実にそこに存在するもので その事実は変えられない さらに言えば それがなければあるいは 僕はもっと悪いことになるだろう
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加