第1章

2/3
前へ
/3ページ
次へ
駅裏のゴチャゴチャした通りの一角に、馴染みの骨董店はあった。 扱う品物は、主に西洋アンティーク。通い始めたばかりのの私でも、すぐに紛い物と分かるような玩具がほとんどだが、たまにハッ!と目を惹き付けられるようなお宝が混じっているから骨董屋巡りは面白い。 ジトジトと細かい雨が降る、秋の夜。仕事帰りにフラッと立ち寄った私に、店の主人が声をかけてきた。 「今日はいい品物が手に入ったんだ。西洋人形だよ。お兄さん、恋人への贈り物にどうだい?」 嫌だな、そんな人いませんよ…とニヤニヤしながら店の奥に目をやると、棚のど真ん中の目立つ場所に、その人形はあった。
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!

19人が本棚に入れています
本棚に追加