第1章

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7時半頃お開きになった。 外に出ると路面が濡れていて水溜りが出来ていた。 「通り雨でも降ったのかな」 「……結構降ったみたいですね」 「日帰りなのうちらだけ?」 「みたいですね」 新大阪駅に着いてすぐ異変に気付く。 響き渡るアナウンスと座り込む人々、窓口に長蛇の列。 「……え?何これ」 先輩は辺りを見回す。 アナウンスに耳を傾けると、ゲリラ豪雨により富士川の水位が上昇して、新幹線は止まっている、という事。 長蛇の列は払い戻しの客らしい。 「先輩、どうします?」 「え?」 「選択肢的には、このままここで新幹線が動くのを待つ。 その場合多分10時間位かけて帰る事になるんじゃないですかね」 先輩は状況を漸く理解した様で、茶色い瞳が見開いた。 「他の選択肢は?」 「泊まるとこ探して明日帰る」 「……探そう泊まる所。 こんな所でずっと待つなんて無理。 新幹線の中で缶詰めになるのも無理」 「まぁ、でも同じ事考えてる人は多いと思いますよ?」 「取り敢えず電話しよ」 「はい」 手あたり次第にホテルに連絡をした。
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