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ビクッと小さく避ける様に仰け反ったけど、それに構わず手を伸ばした。
おでこに手をあてて覗き込む。
そうすれば
ほら、先輩はおとなしくなってしまう。
視線を伏せたまま、手の中で小さく俯く。
睫毛が茶色く光る。
「飲み過ぎました?」
京都行きの電車のホームに向かうため手を離した。
先輩は前髪を撫で直しながら一歩後ろを着いてくる。
約30分後には京都駅に着いていた。
初見さんから受けたナビ通りに駅から歩いて行くと「木崎様、羽山様お待ちしておりました」と、頭を下げる白髪交じりの背筋のすっとした男性がいた。
先輩と顔を見合わせその人に近づく。
「仁さんからお写真頂いておりましたので」
設楽と名乗る運転手に着いて行くとピカピカに磨き上げられた車の後部座席に促された。
静かに走り出した車内
「雨、こちらも凄かったんですか?」
「ええ、川の水位がかなり上昇したようです」
先輩は窓に肘を着いて頬杖をして黙って外を眺めていた。
「……京都もホテルも宿も一杯なんですね」
結局、問い合わせをしてみたけれど京都も満室だった。
「土曜日ですし、今は祇園祭りの時期ですから」
「……そうでしたか」
それは、取れない訳だ。
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