第1章

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「最近羽山くんと仲良いみたいだね」 「仲良いって……」 香澄と買ってきたお弁当を広げて食べていた時に羽山の名前が出てきて言葉が詰まる。 「一緒に仕事してるからね」 「ご飯とかいく?」 「まぁ、仕事終りに行ったりはするけど」 「じゃあさ……」 香澄の口から出てきた言葉に一瞬固まる。 「やだよ」 「えー、いいじゃん。 知和の言う事なら聞くと思んだけどな」 「だって私だったら絶対行きたくないもん」 「えー。いいじゃん」 交流会と題した集まりがあるらしく、それに羽山を連れて来いというのがミッションらしい。 「連れて来るって事は私は参加する前提じゃん」 「たまには出なよそういうの。 ほら他部署との繋がりがあると今後役立つかもよ?」 「………それ以上に面倒な事が起こりそう」 羽山が狙いって分かってて誘う事なんて出来ない。 「もー、非協力的なんだから。 羽山くん今フリーなんでしょ? 狙われて当然だしさ。 そういえば 羽山くんが入社した時に噂あったけどあれって本当なのかな」 香澄が卵焼きを口に入れ上を向いた。 「噂って?」 「婚約者が居るって」 「…………」 「だから社内の子の誘いに乗らないとか?」 「……へぇ」 そんなの初めて聞いた。 やっぱり私って何も知らないんだな。
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