第1章

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後輩に脅された。 手ブラでOKなバーベキュー場で休日にも関わらず会社の面々と顔を合わせなければいけない憂鬱さ。 朝迎えに来ると行った羽山が来たのは7時だった。 「まだ準備してないよ。だって10時過ぎに出れば余裕で間に合うでしょ?」 寝起きの格好で羽山を迎える。 それを見られても何とも思わないのはどうなんだろう。 「今から寝たら絶対起きられないと思って」 「え?寝てないの?」 「10時になったら起こして下さい」 ソファ借りていいですか?と問われ私が頷くと崩れる様に倒れ込んで直ぐに寝息が聞こえた。 ブランケットをかけて羽山の顔を見つめる。 鼻筋通ってて綺麗な顔してる。 毛穴目立たないし、まつげ長い。 洗濯物を干してから朝食を作った。 羽山が家にいるのに、いつもの休日と変わりない。 ソファからはみ出した足を見つめながらコーヒーを口にした。 ……弟といる様な感覚だからかな。 だから部屋に一緒にいてもそわそわというかもやもやしないのかな。 でもそんな事言ったらまた怒られるんだろうな。 ……京都の夜が幻だったかのよう。 あれから羽山と私は以前となんら変わらない。 ただ、時々じっと見られる視線を私から外す様になった。
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