第1章

27/44

276人が本棚に入れています
本棚に追加
/44ページ
「あ、起きた?」 「……今何時ですか?」 眠そうな顔でこちらを見る。 「あと10分で10時」 「………」 「コーヒー飲む?」 「はい。あと出来たら朝食を」 「これからバーベキューなのに?」 「……多分食べないと思うので」 「あー。そうだね」 ワンプレートにサラダとサンドイッチを盛り付けて差し出した。 羽山の綺麗な手がためらう事なくサンドイッチを掴んで口に運ぶのを相向かいの席に座って見ていた。 「平気?」 聞いておいて変な問いかけだなとは思う。 「美味しいですよ」 羽山の表情が柔らかくなった。 「……ちゃんと人のご飯食べられるんだね」 「……レアですよ」 「そういえば羽山、婚約者いるの? その人のご飯食べた事ある?」 「はい?」 「違うの?」 サクッ フォークでサラダを突き刺した。 「そんな時代錯誤も甚だしい事あるわけないじゃないですか」 「…………」 「戦国時代じゃあるまいし」 「……ですよね」 カリカリのベーコンとレタスを口に入れた羽山は視線を伏せてしまった。 戦国時代って……とは思ったけれどそれ以上深く聞けなかった。
/44ページ

最初のコメントを投稿しよう!

276人が本棚に入れています
本棚に追加