第1章

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第一四半期の決算終了後の営業部会議が終わった。 資料をトン、と揃え席を立とうとした時。 「今日の勉強会早めに終わらせて飲み行くから木崎も参加して」 突然やって来たのは初見だった。 「え?」 見上げると彼はもう私の方を見て居なかった。 「羽山も参加できる?」 「……あ、はい」 「じゃあよろしく」 「あ、ちょっと初見……もぅ」 絶対聞こえてるのに振り向きもせず初見は弾みをつけて歩きながら去ってしまった。 「初見さんの10分の1位先輩もマイウェイになればいいんじゃ無いですか?」 立ち上がった羽山が私に言葉を落とす。 じっと顔を見つめると。 「最近その顔良くしますよね『何言ってんの?』みたいな」 羽山は人差し指で自分の眉間を指した。 私は慌てて掌で隠した。 午後6時を回った時計を見て小さく溜息を吐く。 初見にそう言われたものの 「…………」 どう見ても終わらない。 でも明日に回す余裕も無い。 久々に勉強会でも出ようかと思ったけど、無理そうなので初見への伝言を羽山に任せた。 飲み会も中盤になった頃ようやく指定されたお店に着いた。 「木崎」 初見が軽く手を上げた。 「ごめん初見」 「来ただけ偉いよ、木崎の場合」 初見の周りはいつも通り落ち着いた感じで、逆側は盛り上がっていた。
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