第1章

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「……今、何て?」 「…………」 「ちょ、知和、もっかい言って」 香澄はトマトクリームスパゲティのエビをぱくっと口に入れ、フォークの先を私に向けた。 ランチタイムに自分の処理能力を超えてしまった問題を香澄に漏らした。 「やっぱ違う気がする……だって羽山がいう筈無いもん。 それにまだ会って3カ月しか経ってないよ?」 私は首を振った。 「でも言われたんでしょ? それに、3カ月あれば何か始まるには充分な時間だよ?」 「……うーん」 「だって、羽山くんだよ? いーじゃん。付き合っちゃえば」 「いやいや、そんなんじゃない。 羽山は誰かと付き合うとかそんなんじゃないよ。 初見みたいに特定の人作らないタイプだよ?」 「え……そうなんだ」 「香澄、分かってると思うけど言わないでね?」 「わかってるよ」 香澄は口元に人差し指でバツを作った。 「で?言われた時知和は何て言ったの」 「…………」 私を下から覗き込むように上目遣いで見てくる。 「覚えてないんだけど……多分『あ、そう』って」 「はぁ?」 「だって言うわけ無いって思うじゃん」 「でももし本当に言ったら? その返答可哀想すぎない?」 「可哀想なんて柄じゃないよ」 そう答えた私の返答を聞き流し、香澄は首を左右に傾げながらちょっとにやにやして私を見る。 「そういうきゃっきゃした話久しぶりー」 香澄の中で盛り上がっている様で目をキラキラさせ始めた。
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