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「何が?」
その間も指の間に羽山の指先が侵入してくる。
表情に出ないようにするのが精一杯だ。
「聞きましたよね?」
質問に質問で返されたけど、言っている事は分かった。
「……ん、まぁ、そういう事かと納得した」
「……」
「ほら、やっぱり羽山が人に好きだなんて」
「でも、嘘は言ってません」
「……」
私を好きだと言った事
そして
その理由が私が羽山を好きにならないから、という事を指しているのか?
「そ、か」
視線を落として羽山の顔から目を逸らした。
その時
不意に離された手に反応して
私は落とした視線を羽山の手に戻した。
「……あ」
ぐいっと手首を掴まれたかと思った時には身体が持ち上げられ、気付けば羽山の膝の上に横座りで乗るような形になっていた。
「羽山……」
腰の後ろに回された手に体はロックされていて、離れるに離れられない。
顔の距離が近すぎて思わず顔を背けた。
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