9人が本棚に入れています
本棚に追加
第1話
「……はぁっ、はぁっ、はぁっ」
俺は久しぶりに全力疾走している。
もちろん大勢の女性達に、デートのお誘いで追われているとかでは断じてない。
ではどうして走っているのか?
答えは単純。化け物に追われているのだ。
上空ではこの世界にそぐわない漆黒の鴉が、こちらを気にしながら飛んでいる。
「もっと気合を入れて走ったほうがいい。追いつかれる」
「気持ちだけで早く走れるなら、誰も困らねーよ!」
「でも、そのままだとコータは食べられておしまい」
「だから全力で走ってるんだろ! お前も上から見てないで、助けたらどうなんだ!」
「今は難しい。ここは別の世界だから、色々制約がある」
この鴉、鳥の癖にしゃべるのだ。
しかもこの鴉は、俺の実家の神社が祀っている神様の使いで、俺はその神様から異世界で自分(神様)の嫁を探してこいとこの世界に放り込まれた。
意味が分からないって?
奇遇だな、俺もだ。
どうしてこうなった……。
最初のコメントを投稿しよう!