第1話

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第1話

「……はぁっ、はぁっ、はぁっ」  俺は久しぶりに全力疾走している。  もちろん大勢の女性達に、デートのお誘いで追われているとかでは断じてない。  ではどうして走っているのか?  答えは単純。化け物に追われているのだ。  上空ではこの世界にそぐわない漆黒の鴉が、こちらを気にしながら飛んでいる。 「もっと気合を入れて走ったほうがいい。追いつかれる」 「気持ちだけで早く走れるなら、誰も困らねーよ!」 「でも、そのままだとコータは食べられておしまい」 「だから全力で走ってるんだろ! お前も上から見てないで、助けたらどうなんだ!」 「今は難しい。ここは別の世界だから、色々制約がある」  この鴉、鳥の癖にしゃべるのだ。  しかもこの鴉は、俺の実家の神社が祀っている神様の使いで、俺はその神様から異世界で自分(神様)の嫁を探してこいとこの世界に放り込まれた。  意味が分からないって?   奇遇だな、俺もだ。  どうしてこうなった……。
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