悲劇

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六畳の和室が2つつながった部屋。 とても綺麗に片づけられてる。 床の間に、中村晃志の数々のトロフィーと賞状が飾られていた。 "…………やっぱスターだな " 中身も成人した紳士みたい。 「入っていいか?」 廊下から、晃志の声が聞こえて、 「いいよ」 と慌てて 身なりを整える。 スー……っと障子を開け、入ってきた晃志の髪も濡れていた。 制服から私服に着替えた、彼の右手に 救急箱が抱えられている。 「痛いかも」 「………………うん、大丈夫」 晃志は 素足の私の足を洗面器に入れさせ、 ペットボトルの水で汚れを流すと、軟膏とガーゼで応急処置をした。 肘もそれと同じように。 「冷たいだろ?」「うん」 自分の手や足に、触れる、 そのきれいな男の子の手に 私は ドキドキが止まらなかった。
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