悲劇

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「ここって…」 私は、私と同様、 身体半分びしょ濡れの晃志に 何を考えてるのか聞いてみたくなったけれど、 「怪我とその血だらけのシャツで帰れないだろ?」 と、先に口に出した晃志は傘を閉じ 玄関を開ける。 「い、いいよ」 私は、やっと、さっき口きいたばかりの、 いくら地元で有名で 名前を知ってたとしても、 よく知らない男子の家に入る勇気はなくて、首を横に振った。 「……とりあえず、着替えたら?」 晃志は中からバスタオルを、玄関先の私にポイッと投げた。 下駄箱の鏡を見て 私はさらに顔が熱くなった。 す " スケスケだ…" 「…………はい」 さらに彼は、女物の服を追加して渡してきた。 「母さんのだから後で返せよ」 「………」 このひと いいひとかも……
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