誘引

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「美咲、校門ところに中村くんいるよ」 テストが終わり、部活は始まっているはずなのに、やっぱり走らないんだね。 人見知りしない純ちゃんは、窓から顔を出して晃志に向かって手を大きく振っている。 「早く行ってあげなよ」 「…………」 ずっと、メールもそっけなくしていた。 ……私は いつもこう。 面倒なことや難しいことからは、逃げてばかり。 「……久しぶり」 晃志からも 逃げるところだった。 でも、 「中間どうだった?」 少し、はにかんで笑う、 その、光と闇を、半分ずつ持つ瞳を見たら…… 「悲惨だったよ、晃志は?」 「同じく」 逃げちゃいけないような気がした。 「晃志」 「ん?」 「またバイクに乗りたい。」 駅まで、手をつないで歩いた。 …____私たちは大丈夫……… きっと、普通の恋人同士になれる。 そのとき 私は、 2人を刺すように見つめる強い視線に、 全然、気づいてはいなかった。
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