誘引

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車から降りてきた双子の母は、 「お茶どう?」 と、優しく私の背中に触れてきた。 ……ふわっと、自己主張の強い、ユリの匂いがする……… 「晃志 を待ってんの?」 「………………」 返事がすぐできない私の顔を見て 晃大が何かを察知したようだ。 「あいつは強いようでデリケートだから、いったん傷つくと、なかなか戻らないよ」 さすが兄弟……… 「どうぞ上がって、晃大の話相手になってあげて」 綺麗なお母さんは、躊躇う私の手を引いた。 「………………あ、あの」 引き込まれるように 家の中へ 足を踏み入れた。
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