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……ガタタン
朝、混み合った列車のなかで
夏服で乗車する、晃志の姿を見つけた。
そして、運良く座席に座れた私の前に無言で立った。
「……おはよ」
見上げると
晃志の顔………少し怒ってた。
「昨日、駅で待ってたんだけど…メールも電話も来ないし」
ガタタン
揺れがひどいカーブ、
晃志の手すりを持つ手が力が入り、
その腕に筋肉質の男らしさが見えた。
" 俺はこれ以上大きくならない "
そう言った、晃大の白い細い腕を思い出す。
「美咲きいてる?」
「………あ、ごめん!
昨日先生に捕まっちゃってメールもできなかったの」
適当な嘘をついた。
「……そっか、
そいや藤沢って三年生知ってる?」
!ズキン!
昨日の駅の光景を思い出す。
「俺のコーチの娘さん、K女子みたい」
「………」
あなたを
キライだと、そう言って
私にキスした女の子よ
「意外に感じよくて、
美咲とも知り合いだって言ってた」
胸が
ズキズキする。
____" 感じよくて "
藤沢さん何を考えてるんだろう?
「帰り、今日こそ一緒になろうな」
晃志の満面の笑顔が、今の私に罪悪感を与えた。
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