番外編

24/38
前へ
/40ページ
次へ
千波さんに、会いに行こう。 会って、俺の気持ちを全部伝えよう。 ………そして、受け入れてくれるかはわからないけど。 彼女に、プロポーズしよう。 自室に戻り、俺は急いで上着を羽織ってから車の鍵と財布をひっ掴んだ。 不思議なもので、2週間以上もうじうじ悩んでいたというのに、一度決断すると嘘みたいに心が急いた。 ぴったり彼女に合う指輪を買って、景色のいい場所で。 プロポーズのプランは色々あったけど。 今はもう、そんなことどうでもよかった。 大事なのはそんなことじゃない。 千波さんもきっと、待っているのはそんなことじゃないんだ。 俺達が順番を間違えたことも、圧倒的に言葉が足りなかったことも、もう疑いようのない事実だけど。 彼女を好きな気持ちも、失いたくない気持ちも本当だから。 他の誰にも、奪われたくなんかないから。 もしもまだ、可能性があるなら。 彼女にまだ、触れることができるなら。 この腕にすっぽり包み込んで、もう二度と離さない。 ────もう絶対に、間違えない。  
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2249人が本棚に入れています
本棚に追加