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千波さんに、会いに行こう。
会って、俺の気持ちを全部伝えよう。
………そして、受け入れてくれるかはわからないけど。
彼女に、プロポーズしよう。
自室に戻り、俺は急いで上着を羽織ってから車の鍵と財布をひっ掴んだ。
不思議なもので、2週間以上もうじうじ悩んでいたというのに、一度決断すると嘘みたいに心が急いた。
ぴったり彼女に合う指輪を買って、景色のいい場所で。
プロポーズのプランは色々あったけど。
今はもう、そんなことどうでもよかった。
大事なのはそんなことじゃない。
千波さんもきっと、待っているのはそんなことじゃないんだ。
俺達が順番を間違えたことも、圧倒的に言葉が足りなかったことも、もう疑いようのない事実だけど。
彼女を好きな気持ちも、失いたくない気持ちも本当だから。
他の誰にも、奪われたくなんかないから。
もしもまだ、可能性があるなら。
彼女にまだ、触れることができるなら。
この腕にすっぽり包み込んで、もう二度と離さない。
────もう絶対に、間違えない。
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