番外編

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そこには、普通のバラではなく茎が枝分かれした可愛らしいバラの花が飾られてあった。 ピンクが主だが、淡いオレンジや黄色やホワイトや様々な色がある。 第一印象は、まさに『可愛らしい』だった。 「………可愛い花ですね。千波さん、この花が好きなんだ」 「ええ」 店員がニコニコと頷くのを見て、俺は即決した。 何より、この花がとても千波さんに似合いそうだと思ったから。 「すみません、じゃあ、この花でお願いします」 「かしこまりました」 快く店員は返事をし、簡単に相談したあと花束造りにとりかかってくれた。 その間、俺は手持ちぶさたにソワソワと入口の辺りで佇んでいた。 ビニールハウスなので、少しずつ日が落ちていくのがわかる。 (……あ。やべぇ) ここへきて、俺は自分の心臓が尋常じゃないほど早鐘を打っていることに気が付いた。 ふーっと大きく息を吐いて気持ちを落ち着かせようとした、その時。 「お待たせしました」 背後から声をかけられ、俺はハッと声のした方を振り返った。 綺麗にラッピングされたスプレーローズの大きな花束を俺に差し出しながら、店員は笑顔で俺を見上げた。 「花言葉は『相思相愛』です。頑張ってくださいね」 激励の言葉と共に花束を手渡され。 俺は胸が熱くなるのを感じながら、大きく頷いてそれを受け取った。  
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