番外編

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確かに、東野の結婚パーティーで東京には行くけど。 なんでそれを、千波さんが知っているんだろう。 「どうして知ってるんですか?」 「………………」 問い返したものの、思い当たることは一つしかない。 どうせあの、噂好きオバサン達の恐るべきネットワークが情報源だろう。 しかしまあ、五十嵐家を辞めた千波さんの耳にまで入ってるなんて、どこまで凄まじい発信力なんだろうか。 ホトホト呆れ果て、俺は苦笑しながら肩をすくめた。 「また噂話ですか。ホントに広まるの早いなぁ……」 「………………」 「そうなんです。来月の頭から東京へ行ってきます」 笑いながら言うと、千波さんはどこかぼんやりとした表情で俺の顔を見上げた。 「………証さんの会社、ですか?」 「はい。急に呼び出されて、仕事押し付けられて。……相変わらず強引な奴で……」 俺が言葉を重ねるほどに、何故か千波さんの顔が悲しそうに歪んでいった。 唇を噛み締めて、涙さえ堪えているように見える。 ………何だろう、何かそんな悲しそうな顔をさせる話題だっただろうか。 さすがに少し、様子がおかしいなと思ったその瞬間だった。 「─────私を、東京へ連れていってください!」 ………目の前で千波さんが、そう叫んだ。  
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