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晃大が参ったあとに、お墓の前に私は手を合わせ、
亡くなってから
初めて声を出して名前を呼んだ。
「…………晃志………」
夫の名前を最後まで呼べなかったのは
あなたがまだ
私の中で鮮明に生きていたから……
もう、会えないと、
ただ、ただ悲しくて
昔は思い出を封印することだけを考えていた。
だけど、
やっぱり、
" 晃志に会えてよかった……"
「美咲…」
「…………ん?」
晃大が私の後ろに立ったまま、肩に手をそっと置いた。
「いま、幸せ?」
少し落ち始めた夕日が、 晃志の眠る場所に長い影を落とす。
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