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「今、幸せ?」
振り返ると、晃大の顔、夕日のせいでよく見えない。
心配かけてしまってたのかな?
……わたし 自分がどう、生きたいか
見えていない。
どうあれば、幸せなのか……。
「……たぶん…………」
「……そんな心配になる答え方すんなよ」
晃大は、水や花やらを片付けながら、
「行こうか」
と微笑んで、墓場を下っていく。
「俺、しばらく地元いるから」
「しばらく?」
「東京の美大とこっちの母校の美術講師を兼任してて、こっちで講演あるから」
「…すごいね」
…………スゴい人になっちゃったね……
「な」
「ん?」
「明日、一緒に絵を描かない?」
「え、ブランク有りすぎて無理だよ」
「じゃモデルになる?」
………………それは……
「冗談だよ、アトリエ遊び来いよ」
そう言って、笑う顔……
今の私には
眩しいくらい、あの頃と変わってない。
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