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東京に着き、
寮に戻ると、盆休み中で誰も居なくて
とても静かだった。
ルームメイト…………
普段は少しウザイと思ってたのに
今日は居ないと少し淋しい。
東京では、特に行くあてもなく、
俺はバイト先のゴルフ練習場に向かった。
途中、母さんから携帯に電話がかかる。
「どうして、黙って行っちゃうの?」
「………忙しくて……
母さんも忙しそうだったから」
__母と若い医者の恋愛。
反対する理由はないのに、
俺が親離れしていないガキだからか、
大切なものを また 失った気がした。
「晃大との時間が人生で一番大事なのに」
電話の向こうの母さんは 俺の行動に戸惑ってるみたい。
「忘れないで、
あなたの中には お母さんがもう一つ大事だった、
晃志がいるの」
「…………」
……………母さん……
「あなたがお母さんを
めんどくさがる年頃だと分かっていても、
お母さんは、どこのお母さんよりも
息子のあなたに 一番に会いたいの」
深い悲しみのなかで、
俺へ、晃志の心臓の移植を決意してくれた。
それだけで
愛されてることが証明されているのに。
「……黙って戻って悪かったよ」
その時のおれは、
まだ
ガキだったから 母親の恋に戸惑っていたんだ。
俺は
死ぬまで親不孝だ…
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