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「兄弟は?」 そう聞いて、ドライバーを振った先輩のお父さんの飛ばした球は、 照明のはるか向こう、 ネットを超え 山の中に消えてしまった。 「おぉ……」と、周りから歓声が洩れる。 照明の光で 俺には行き先が見えなかった。 でも間違いなく最高の飛距離だ。 …………あんな風に 消えてしまうとき 誰かが見ててくれなくてもいい、 「俺には……」 最高の人生を送るために いや、送ったのなら 短くても早くてもいい____ 光の中で輝いて 消えたい。 「兄が1人います」 ずっと憧れていた、晃志のように……
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