光へ

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おばあちゃんは、 「ほんとにそっくりだったのよ」 と笑いながら、写真を見つめる僕を 膝に乗せて …………また泣いた。 おばあちゃんが、震えるから 僕まで我慢していた涙が落ちてきて、 鼻水まで出てきてたれちゃうから 顔をくいっと上にあげた。 「………あ」 夕日と同じ色をした、オレンジ色の蝶が 二匹 追いかけっこをするように、 寄り添いながら 空に飛んでいるように見えた。 お母さんがそれを見て 「きっと、晃志と晃大だ」 って微笑んでいた。 ……_お母さんの涙はもう止まっていた。 お父さんが 一緒に庭で草むしりした時に 「どんな時も母さんより沢山泣いたらダメだぞ」 ってそう言っていたし だから 僕も もう泣かないって決めた。 ホントに 天国に行っちゃうんじゃないかと思うくらい、 高く 高く 夕日の中に飛んでいく蝶を ……僕は、 いつまでも、見ていた。 " もう、お兄ちゃん、 きっと淋しくないね " 蝶が消えていくまで ずっと 見ていた。 *゜・・。゜*゜・「晃大の十年」完 続けて、番外編「銀恋」をお楽しみください。
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