逃亡の姫君

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「奴は何を考えていたのか?」 ぜクロが不思議がるように言う。 「お待ちしておりましたよ。ユウナ様」 目の前には紫の装束に身を包む軍団が現れた。 「パープル軍か。姉上の差し金か」 ユウナは鋭い目つきで前に立ちはだかる男を睨みつけた。 その男は黒い長髪で高い身長であり、鋭い目つきをしている。腰には大きな刀身の剣を装備している。 彼はこの軍団の将である。 「シルビス卿、ホウセンカ帝国に反旗を翻すつもりか?」 ドラメトスは叫ぶ。 「ドラメトスよ。お前も私と同じように、国ではなく、人に仕える身ならわかるだろう?私はホウセンカ帝国に忠誠を誓ったのではなく、コーネリア様に忠誠を誓っているのだ!」 「ドラメトス、ぜクロ、周りの雑魚を任せる。私はあいつを!」 「承知しました!」 ぜクロは魔力を使い、雷撃で敵を攻撃する。普段は剣や長柄の武器を使うが今は持っておらず、掌から小さな電撃波を出して戦ってる。 キンッ! ユウナとシルビスの剣がぶつかり、火花を散らす。 「帝国最強の騎士と呼ばれるほどだな。簡単には倒せないな」 ユウナはつぶやく。 「ユウナ姫、お命頂戴いたす」 シルビスは剣を振り上げる。 ユウナはその剣を止め、シルビスの腹を蹴ると彼は馬から落馬する。 「さすがはユウナ様!」 ドラメトスは感心している。 ユウナは武術に優れている。 幼少期からリグレットが教官としてユウナを鍛え上げていたからである。 「ユウナ様!」 少し背が低めの赤い髪の青年が慌ててユウナの元へ駆け寄る。 「リュウド!無事だったか?」
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