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上村は、おずおずと私に手を伸ばすと、壊れやすいものをそうするように、優しく私のことを包み込んだ。
「俺がずっと傍にいたいと思えたのは香奈だけだ。傍にいて欲しいと思ったのも。……だからもう、二度と俺の前からいなくならないで」
「上村……」
上村の告白に、胸が震えた。
私に、傍にいて欲しいと、思っていてくれたなんて。
嬉しくて、涙が溢れてくる。
「だから、二人で一緒に生きていこう、香奈」
「……はい」
もう溢れる気持ちに蓋をして、無理やり押さえ込まなくてもいいんだ。
これは夢ではないと確かめるように、私たちは何度も唇を重ねた。
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