一緒に生きていこう

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「何?」  上村は手に持っていたサプリのケースを、空になったグレープフルーツの器の隣に置いた。 「昔、祥子さんが一人目を妊娠した時、つわりがかなりひどくてさ。唯一食べられたのがグレープフルーツだったんだよね。水飲んだだけでも戻してたのに、『私が食べなきゃ赤ちゃんが』って必死になって食べててさ。母親ってすげーんだなあって思った記憶がある」 「そうなんだ。祥子さん、そんなにつわりひどかったんだ……」 「だからなんとなく、そういうイメージはあったかも。グレープフルーツ イコール妊娠、みたいな」 「えっ?」  上村の耳たぶがほんのり赤くなってるように見えるのは、私の気のせいだろうか。 「本当はずっと、香奈に子供ができればいいのにって思ってた。そうなれば、何があろうと香奈は俺といることを選ぶはずって……」 「……どうしてそう思ったの?」 「香奈、前に言ってたじゃん。鳴沢さんから身を引いたときのこと」  確かにあのとき私は、『生まれてくる子供には罪はない。だから私の方が身を引いた』と上村に言った。
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