第1章

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---------- 狂気の原因を探る為、私は深淵に身を投げた。 闇の中に踏み込んでこそ、闇を知ることが出来る。そう思ったのだ。 結果として、私は闇に飲まれることになる。 闇に抗えるほどの精神を、私は持ち合わせていなかったのだ。 ---------- 「あら、ジェシカじゃない。久しぶりね」 部屋の前に現れたのは、先生の養子、ジェシカ。 たまに来て、愚痴をこぼして帰る子。 「エリザベスはカマキリ!」 今日の彼女の一言目。普段は、聞いてエリザベス!が一番多いかしら。 「え、えぇ。見ての通り、私のモデルは蟷螂よ」 私の足は四本。というか、下半身そのものが変化しているんだけどね。本当に、下半身はそのまま蟷螂。 あとは腕。肘の辺りから、硬くて鋭いトゲがギザギザ。指とかはほとんど残ってないの。腕全体が、まるで蟷螂。 「カマキリって強そう!カッコいいよエリザベス!」 「そうかしら…まぁ、ありがと。ところで、何かご用かしら?」 また実験されなかった不満かしら。見たところ、何も変化無いみたいだし。 「今ね、みんなのモデルを覚えてるんだけど、実際に見て覚えた方がいいだろうってゴードンが!」 ゴードン…あぁ、ファーストの鳥系のお爺さんだったかしら。まだご存命なのね。 「なるほどね。それで、私は何かした方が良いのかしら?」 「私といつもみたいにお話してくれるだけでいいよ!」 私は普段、聞いてるだけだけどね。
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