三人の転校生ー雨と、風と、太陽ー

4/34
前へ
/34ページ
次へ
「私一人でも十分だとは思いますが・・・一夏さんがそういうのならば仕方ありませんわね」 「サンキューセシリア」 そろそろ千冬姉が来る時間だな。居住まいを正しておこう。 「席に座れ、HRを始めるぞ」 推測通り千冬姉が教室に・・・ん? IS学園の制服を着用した人達が三人教室に入ってきた。 「今日は転校生を三人紹介しまーす。自己紹介をどうぞ」 「はい。では『僕』から」 「皆さん始めまして。シャルル・デュノアです。同じ境遇の人達がここに居ると聞いて、転校して来ました。三年間、よろしくお願いします」 その男子は深々とお辞儀をし終えた後、黄色い声のスコールを浴びた。 「王子様!王子様系よ!!」 「お姫様抱っことか・・・あぅ」 「赤星君と織斑くんでデュノア君を取り合う・・・捗る!!」 なんか変な内容も聴こえたが聴かなかったことにしよう。十也も忘れておけとか言ってたし。 「ぁ、ぇ、えっと・・・」 シャルルは慣れないのか苦笑いを浮かべている。 そして女子たちは千冬姉によって鎮められる。いつものパターンだ、もう慣れたもんだな。 「ではヒルデガルトさん。自己紹介をお願いします」 山田先生によって名前を呼ばれた女子が前に出る。 「我が魂に刻まれた真名を呼ぶか。・・・ふっ、いいだろう。我こそは“先走る勝利(ラウンド・ゼロ)”ヒルデガルト・ハウザー。ククク、恐れ慄いたか?」 顔の左半分を手で隠し、妖しい笑みを浮かべて変なポーズをとっている。 「「「・・・」」」 俗に言う、中二病、という奴だろうか。 「あ、あれ?自己紹介って確かこんな「おいハウザー」あ、教官!何ですかその冊子、凄く固そうなんですけど「ここでは織斑先生だ。それに、自己紹介くらい真面目にやらんか、馬鹿者!!」うにゃぁぁぁああああ!!」 千冬姉の出席簿アタックがヒルデガルトに直撃し、空いていた教室の扉から外に吹き飛ばされた。 お、恐ろしいぜ・・・二つの意味で。
/34ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加