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3月30日
夕方は風が冷たい
身体の体温を奪っていく
新幹線と電車の乗り継ぎを得て
やっともう少しで目的地だ
俺ーー池口 光は大きなリュック、
大きなキャリーケースを持ち直し
歩みを進める
疲れているはずなのに足取りは軽い
どんな奴が居るんだろう
志望校の大学に何とか受かり
4月から大学生になる俺は
家を出て憧れの一人暮らし…
のはずだったが、家賃を見て絶望した。
何とか見つけた物件は所謂
シェアハウスというもので家具は完備
共益費も光熱費もルームメイトと
折半だと説明があった
残り1名しか空きがなく
ここしかないと速攻に契約し
シェアハウスに住む事に決めた
「元気かなぁ…？」
ふと故郷で働いている兄を思い出す
心配そうに、だけど笑顔で見送ってくれた兄貴
昔は良く迷惑かけたな．．
俺にしては珍しく感傷に浸っている間に
目的地に着いた
「…ここか！」
木造のログハウスのような外観
二階建ての大きな家だ
集合時間まで30分ある
早く着きすぎたくらいだ
ポストに自分の名前を書き入れると
いよいよここに住むという実感が湧いてくる
扉の前でよしと気合いを入れる
一体どんな人達と過ごすんだろう
不安よりも期待が膨らんでいく
今日から俺達の365日が始まるんだ
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